カーボンブレード
一枚の刃
当初のデザインでは、アストンマーティン Valkyrieにはフロントワイパーはありませんでした。走行中は、車のエアロダイナミクスとウィンドスクリーンの角度によって、雨はすぐさま流れ落ちていきます。しかし、ロードカーは時に信号機で停止する必要があることから、ワイパーを加える以外に道はありません。ということは、最も過酷な条件の中でも作動するワイパーブレードを作る必要がありました。想像を絶するスピードに耐えること。アストンマーティン Valkyrieのウィンドスクリーンの信じ難いような曲面に取付け、
 
スペースシャトルのエンジニアによって設計された
しかも、畏敬の念を抱かせるそのシルエットを台無しにしないこと。私たちは再び、自動車業界には未だソリューションが存在しない課題に直面しました。これほどのカーブを描くウィンドスクリーンに、ワイパーが必要なことはかつてなかったのです。模索の結果、私たちは米国の宇宙プログラムに目を向けました。私たちが求める別世界レベルのパフォーマンスを満たしてくれるのは、唯一NASAのサプライヤーだけだったのです。採用したのは、シングルワイパー。重量594gのブレードの1本1本が、丹念に成形され、磨き上げられ、得も言われぬ造形美へと仕上げられています。中央のトーションバーが、ワイパーが常にウィンドスクリーンに接しているように維持します。それは、車が時速200kmを超えても、風速が時速300kmを超えても変わりません。どうしてそれが分かるのでしょうか?それは、世界最速の風洞装置があるオーストリアのRail Tec Arsenal社までわざわざ持ち込んで、テストしたからです。念には念を入れてのことです。