エンジン
最も高い回転数と最強出力を誇る自然吸気式エンジン。
モダンを極限まで追求した傑作。前例のないゼロの地点から、11,100rpmにも達する最高回転数。ロードカーに搭載された史上最強の自然吸気式エンジン。そのエンジン・サウンドの凄まじさから、アストンマーティン Valkyrieは、耳を守るためのヘリコプター用並みのノイズ除去ヘッドフォンとともに納車されるほどです。だからといって、外の音が聞こえないことはありません。車体外部のマイクがサイレンや他のシグナルを拾うので、12気筒エンジンのオーケストラが奏でるサウンドを通しても、路上の音がちゃんと聞こえてきます。これほど、とてつもなくパワフルな車は、どうやって造られたのでしょうか?
 
V12の驚異
それは、とてつもなく小さなスタート地点からでした。コスワースは、慎ましい直列3気筒というアイデアから、実質的に4分の1のエンジンを開発しました。それによって、使用したい燃焼方式のテストと開発を、より精密に管理できる縮小されたプラットフォームで行うことができたのです。燃焼室の形からバルブの角度、そして圧縮比まであらゆる点が完璧になったところで、コスワースはその直列3気筒エンジンをもう1つ、端と端で繋ぎ、さらにもう2つ背中合わせに配置して、このV12エンジンの基本構造を造り上げました。このアプローチによって、必要とする出力要件と排出レベルの両方を確実に満たすことが可能になったのです。その成果は、背筋がゾクゾクし、魂を揺さぶるようなパフォーマンス。このV12エンジンは、リッター当たり154bhpの出力を誇ります。運動エネルギー回生システム (KERS) の助けを得ると、合計出力は1130bhpにまで達します。一方で、エンジン重量はわずか202kg。この数字を見て目を疑う方もいるでしょう。実際、エンジン回転数が10,000rpmまで上がれば、視界がぼやけ始めるのも無理ありません。